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【経済】介護職員の賃上げ、月9千円どまり 厚労省改定

2010/01/26

 厚生労働省は25日、2009年4月に実施した介護報酬改定により、全国の介護職員の平均月収が08年から9058円増え、23万1366円になったとの調査結果(速報値)を公表した。

 改定では介護事業者への報酬を3%引き上げて月2万円の職員賃上げにつなげることを目指したが、半額にも届かない結果となった。

 厚労省は「報酬の使途は事業者次第で、施設の維持経費に回したケースも少なくないため」とみている。

 調査は昨年10月、特別養護老人ホームなど約7000事業所を対象に実施し、給与額が確定した約5000事業所の計約4万2000人分を集計。月収は、9月時点の本給と諸手当、ボーナスを月当たりに換算した額を合計した。

 調査によると、業態別で1万円を超える賃上げとなったのは特養ホーム(1万2052円)と老人保健施設(1万1629円)。賃上げ幅が最も小さいのは訪問介護事業所の5868円だった。

 給与引き上げの状況(複数回答)を事業者に尋ねると、44%が「定期昇給」で対応。「改定を踏まえて引き上げた」のは23%。一方で13%は「給与を上げておらず、今後も予定なし」と答えた。

 報酬改定とは別に、昨年10月から始まった月1万5000円の賃上げを図る「介護職員処遇改善交付金」の影響については、今回の調査に含まれていない。

◆額低いが一歩前進
 <介護職員の労働組合「日本介護クラフトユニオン」の河原四良会長の話> 思ったよりも上がったなという感想だ。私たちの昨年の調査では月収の上げ幅は平均で6475円だった。ただし、全産業平均と比べてまだ10万円ほど低い。介護職員の誇りとして、これを下回ってはならないと考えているが、今回の賃金アップが一歩目の前進であることは間違いないと思う。

 【介護職員の待遇】 重労働の割に賃金が低いことなどから介護職員の離職率は高く、業界は慢性的な人手不足にある。厚生労働省の2008年調査では、福祉施設の介護職員の賃金(月額)は全産業平均に比べて、男性で約11万6000円、女性で約2万9000円低い。高齢化に伴い介護職員の必要数は急増が予想されており、職場に定着できる待遇改善が課題となっている。