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【静岡】県内小中生に増える就学援助 ほぼ6年連続見通し

2009/11/30

不況の影 1年で18%増

 生活に困っている世帯の小中学生に対し、市や町が学費の一部を助成する「就学援助」の対象者が、県内では2009年度までほぼ6年連続で増加していることが、本紙が行った県への情報公開請求などにより明らかになった。リーマンショック以降、製造業が盛んな浜松市を中心に増加が目立つ。長引く景気低迷が、教育現場にも“貧困の影”を長く落としている形だ。 (富士通信部・林啓太)

 県への情報公開請求で、本紙は03年度~08年度に県内各市町で就学援助の対象となった小中学生数などを示す資料を入手した。

 それによると、03年度に1万2519人だった県内の対象者は、08年度には1万4574人となり、5年間で2055人(16・7%)増加した。07年度に微減した以外は毎年約2~7%ずつ増加していた。

 就学援助の対象となった小中学生が全小中学生に占める割合も、03年度の0・038%が、08年度は0・046%へと上昇した。総援助額は、給食費、医療費を除く学用品などで05年度は約3億6000万円だったが、08年度は9000万円増の約4億5000万円となった。

 09年度に関しては県がまだまとめをしていないため、本紙が県内37市町にアンケートして調べた。

 9割に当たる34市町から回答を得た結果では、09年度は静岡市や浜松市などの大都市を中心に17市町で計約1300人増える見込み。残りの17市町では大きな増減はない見通しだが、県全体として09年度も増加が続くのは確実だ。

 増加傾向は、浜松市で特に目立ち、同市の09年度見込みでは、前年度比で生活保護世帯の要保護児童・生徒数が112人増、生活困窮世帯の準要保護児童・生徒数が399人増と、双方合わせて1年間で18%近い増加率になるという。

 援助を受ける総数は3403人に上るとみられ、03年度以降では最多だった静岡市を初めて浜松市が上回った。昨秋の米国発の金融危機の影響が「企業城下町」ほど大きかったことをうかがわせている。