2009/11/18
来年度試算 平均3万2千円増
中小企業の従業員や家族約3500万人が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)は17日、来年度の保険料率(労使折半)を現在の全国平均8・2%から同9・9%へ大幅に引き上げる必要があるとの新たな試算を発表した。
不況でサラリーマンの給与水準が落ち込んだことや新型インフルエンザの流行による医療費増が影響した。仮に保険料率が9・9%まで上がると、加入者本人の負担は平均的な給与(約28万5千円)の場合で現在より年間約3万2千円増える。
協会は10月時点では、加入者の7月までの給与水準を基に引き上げ見通しを9・5%としていたが、8、9月にかけてさらに給与水準が下落。それに伴う保険料収入の減少を見込み再計算すると、一層の保険料アップが必要と判断したという。
協会の小林剛理事長がこの日、会見して明らかにした。協会は加入者の負担軽減のため、国庫補助の増額を求める要望書を厚生労働省に提出。現在の補助は暫定的に医療給付費の13%とされているが、健康保険法に定められた16・4~20・0%への増額を求めた。
協会の2009年度収支は単年度で6千億円の赤字となり、積立金の不足は4500億円に達する見通し。
ただ、今回の試算は積立金不足を10年度一年間で解消する前提。協会は数年かけて段階的に料率を引き上げるなどの方法で、急激な保険料アップを抑えたい考えだ。
【協会けんぽ】
主に中小企業の従業員や家族を対象にした公的医療保険。社会保険庁が運営していた政府管掌健康保険(政管健保)を2008年10月、非公務員型に公法人「全国健康保険協会」が引き継いだ。高齢化に伴う給付費の増加などで単年度収支は07年度から赤字が続いている。保険料率は全国一律8・2%だったが、今年9月から地域の医療費を反映した都道府県別料率を導入した。
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