2009/11/17
失業者が生活費を受給しながら職業訓練を無料で受けられる国の「緊急育成支援事業」で、介護分野に人気が集まっている。10月末の概算によると、愛知県内では他の分野への応募が定員内だったのに、介護分野だけは84人の定員を上回る96人が応募。一方、介護の現場では低賃金などから人手不足が続いており、職場環境の改善も急がれる。
介護福祉の訓練コースを名古屋市西区で開く三幸福祉カレッジ。30人の定員に対し、44人の応募があった。同校を展開する日本教育クリエイト名古屋支社の担当者は「介護は人手不足と言われており、職に直結しやすい」と分析する。
同校の訓練では3カ月のカリキュラムで介護ヘルパー2級や福祉用具専門相談員など複数の資格が取れる。受講者は男性が多いが、20代から50代までさまざま。介護現場と同じエプロン姿で講義を受け、介護や医療、リハビリについての用語や知識を習得し、実習も行う。
受講する名古屋市中区の男性(50)は「ホテル従業員などいろんな仕事をしたが、教会でボランティアをし、これを機会に介護の道でやっていきたい。資格が取れるのは魅力」。愛知県碧南市の男性(28)は「引きこもりに近い時もあった。高齢の親族がおり、個人的に学びたい部分も大きい」と事業を利用する。
一方、不況で働き口がない中で、介護職場だけは例外だ。愛知労働局によると、この不況で9月の有効求人倍率(常用雇用)は0・47倍と低迷するが、介護関連は有効求人4804人に対し、求職者は3020人で倍率は1・59倍。5人の求人に3人ぐらいしか人が来ない状態が続いている。制度では、2010年度末までに介護だけで少なくとも数万人の訓練が見込まれるが家庭介護の勉強で受講する人もいるとみられ、現場の人手不足の解消につながるかどうかは未知数だ。
【緊急人材育成支援事業】
失業者が職業訓練を無料で受けられ、訓練中の生活費として、雇用保険を受給できない人でも月額最大12万円が給付される。自公政権が本年度補正予算で7000億円の基金をつくり財源とした。新政権は補正予算の見直しで約3500億円分を削減したが、事業は10年度も実施し、11年度からは恒久制度として継続する方針を打ち出している。
(中日新聞)
転職・求人情報検索(名古屋市・愛知県・岐阜県・三重県)はトップから