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【流儀あり】勇気いるのは閉める時 ヨシックス・吉岡昌成社長

2009/10/02

 「や台や」をするまでに、10年間で2億円ぐらい、ほってますね。うどん屋、お茶漬け屋、それにハンバーガーショップも。いろんな店を開けては閉めた。

 もともとは飲食店とかの内装工事の建築会社をつくりまして。(昭和)56、57年ごろはホカ弁が伸び盛りだったから、受注はそれが主体。フランチャイズのお弁当屋さんが名古屋で展開するというので(関西から)一緒に出てきました。建築の売上高は最高で50億円ぐらいになった。(一方で)オーナーとしても名古屋、仙台、豊橋、岐阜とかで20軒以上経営してました。

 ところが“弁当屋バブル”が崩壊した。店舗を名古屋に集約して、業態変換は何かないかと実験したわけです。極端な話、弁当屋さんでもうけた金を全部そっちへつぎ込んだ。

 でもいろんな業態をやってみても、うまいこといかへん。20代の女の子をターゲットにして格好良い店やって、こういう料理なら喜びよるやろ、という感覚だけでやった。初めは行列ができるけど、がたがたとなって半年たったら赤字。そんなことを繰り返しました。

 だから、自分がおいしいと思うものをお客さんに提供する店を出した。それがお好み焼き居酒屋の「や台や」。オープンキッチンにして、目の前で作ったものを食べてもらうのが原点。冷凍食品は使わない。

 なぜ屋台かって? どちらかというと閉所恐怖症なんです。僕自身が。自分が行きたい店(がコンセプト)やから、開放的な、ドアを開けたままの店にしたい。それなら「屋台やろ」ということです。そしたら日がたつにつれて売り上げがどんどん上がる。今まではどんどん下がってたんですよ。

 そのうち、すし屋に勤めてた子が「すし屋させてくれ」と言うたから(や台ずしを)させた。何かの業態を開発しても、自分がやりたいなら、そこの責任者にしたるという話。

 店を出すときは勇気はいらないですよ。勇気がいるのは閉める時。そこで売り上げが止まっちゃうんだから。閉められないところはつぶれるんです、会社自体がね。開ける時には、勇気じゃなくて希望があるんですよ。

 【よしおか・まさなり】 77年、大阪工業大卒。82年に名古屋市で弁当店を開業し、85年、ベストフード(現ヨシックス)を設立。98年にお好み焼き居酒屋「や台や」、2000年にすし居酒屋「や台ずし」を開業した。全品280円の居酒屋「ニパチ」などの業態も含め、直営店舗は60店。55歳。大阪市出身。