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やってみました 記者たちの職業体験ルポ 宝石店員

2009/09/30

品質の“選別力”が命

 上品なケースに、きらびやかなペンダントなどが並ぶ。安城市御幸本町の商店街にある宝石店・ジュエリーフカヤ。独特の輝きを放つ宝石で、人の心を照らす仕事の一端をのぞいてみた。
 まずは手元の結婚指輪の洗浄作業を体験してみる。「表の傷は消えないよ」と、店の二代目深谷政信(まさみち)さん(41)。洗浄器に入れて数十秒。取り出した指輪をドライヤーで乾かすと、皮脂で汚れた指輪の内側は、見違えるように輝いた。深谷さんは「家で洗うなら、食器用洗剤が一番。ドライヤーで乾かすのは、水の跡を残さないため」と教えてくれた。

 深谷さんが真珠のネックレスを三本取り出した。“宝石鑑定”に挑戦してみる。白い台に並んだネックレスから、一番上質なものを選ぶ。一本は、少し大ぶりでやや褐色。残る二本は玉は小さめだがピンク色がかっている。ほとんど当てずっぽうで、玉が一番小さな一本を選ぶ。「正解、それが一番高価」と深谷さん。

 「一番大切なのは光沢。あとは色や傷の付き方などで評価する」。言われてみれば、選んだ一本は、透明感があり、ひときわ輝きを放っている。三本を並べてゆっくりと転がしてみる。よく目を凝らすと、選ばなかったピンク色のネックレスは、わずかに光が屈折して、あちらこちらに小さな傷が確認できた。

 「自然のものだから、必ず傷はある。傷の大きさや量も必ず違うから、それを見極めるのがポイント」という。選別にはやはり経験が欠かせない。深谷さんは「品質をどう見極めるかに一番気を使う」と目に力がこもった。白い台に並べるのは色を確認するため。試しに机に並べてみると、茶色い机の色が真珠に映り込んだ。

 深谷さんは、宝石を買ったお客さんが「『いいものだね』って褒められたの」と喜ぶ様子を見るとうれしくなるという。「宝石はいい物を長くつけてほしい。母親から娘さんに受け継いでもらうくらいね」と深谷さんは笑顔を見せた。(宇佐美尚)

 【メモ】宝石学の専門教育を受け、宝石鑑定士の資格を持つ人もいる。初任給は15万円から20万円程度。新規出店は宝石メーカーや宝石店で経験を積んで独立するケースが多い。

真珠の解説をする深谷さん=安城市御幸本町で
真珠の解説をする深谷さん=安城市御幸本町で