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【流儀あり】哲学と「気付き」を手に プロトコーポレーション・横山博一会長

2009/08/20

 給料袋に、びっしり印刷しているんですよ。求められる社員像や企業目標を。裏には「一、夢・ロマンが語れる人」「二、挑戦する人」とか、7つ挙げてある。表の注意書きには「給料を増やすには、中の明細書を気にする事より、表裏に書いている事を頭に入れて行動する事」って書いてある。

 手帳とかにこうしたことを書いている企業はあるけど、それで給料が増えるとまでは書いていない。ダイレクトに表現した方が分かりやすいでしょう。大切なのは旗印。旗印があるから社員が一つにまとまる。売り上げや利益の目標は、旗印にならんの。

 1994年に大阪へ(「カーセンサー」を発刊する競合の)リクルートが進出してきまして。こちらは年商30億円で、向こうは3000億円。それで「かかってこんかいカーセンサー」ってスローガンを掲げた。会社対会社っていうけど、最前線で戦うのは人、営業マンですよ。現場の士気をどれだけ高めるか。

 そんなスローガンにしたんだから、現場は常に、相手より何をしたら上回るかを考える。知恵は次から次へ出てくるわけですよ。相手が1回営業に行けば、こちらは3回行く。5回行けば、10回行きゃいいんでしょう。

 両手があって、右手には人生哲学、経営哲学を持つ。哲学っていうと小難しいけど、旗印ですよ。それで左手には「気付き」。その哲学をうまくやれるかは、常に修正できるかなんですよ。気付きとは修正する能力。経営も人生も同じ。哲学と気付きがあれば、どこでも通用できる。

 どの道で生きるかは自分で決めればいい。生き残りの条件は、人それぞれだから。私の場合、社会に必要とされる会社。社会性のある会社をつくりたい。(77年の)創業のころはオイルショックの後で、周りの企業がどんどん倒産した。そういうところは社会性を追求せずに目先の利益ばかり追求してた。

 (中古車情報サービスも)本だけやってたら必要とされなくなる。「必要とされたい」と思い続ければ、インターネット、モバイルと変わっていく。それも気付きでしょ。

 時代の変化に気付けば、やり方は変わってくる。一にも二にも「必要とされる」ことで、(やり方は)そこから出てくる話。こういう会社にしたいっていうカンパニースタイルがないと。

 【よこやま・ひろいち】68年、静岡県立浜松城北工業高校卒。家業の自動車部品メーカーやコンサルティング会社勤務を経て、77年に創業。「月刊中古車通信(現Goo)」を創刊する。79年、プロジェクトエイト(現プロトコーポレーション)を設立し社長に就任、03年会長。59歳。浜松市出身。