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【岐阜】現場の技を授業で直伝 岐阜工高にトップ級の溶接職人招く

2009/05/26

 モノづくりのすそ野を広げようと、笠松町の県立岐阜工業高が、全国トップクラスの溶接職人岩佐富雄さん(62)=関市=を招いた技術講習を続けている。生徒たちは、授業とはひと味違う現場に根ざした指導で、めきめきと実力をつけている。

 岩佐さんは45年以上の経験を持つベテラン溶接職人で、関市の「岩佐溶接鉄工所」の社長を務めている。溶接技術を競う全国大会で7位の入賞歴もあり、中央職業能力開発協会の「高度熟練技能者」の資格を持って工業高校や企業などで技術指導をしている。

 同校は溶接技術にたけた生徒を育てるため、現場の技術者を招いた講習を6年前から始めた。機械科の生徒が月1回、休日登校し、溶接の直接指導を受けている。別の日に放課後の約1時間半を指導の復習にも充てている。

 23日の講習では、生徒が溶接棒を使って2枚の鉄板をつなぎ合わせる作業に取り組んだ。岩佐さんは出来上がった鉄板をひっくり返しながら、接続部分の強度や見た目の美しさなどを確認し、一人一人にアドバイスした。

 豊富な現場経験から、高校生が覚えやすい作業方法や、使いやすい道具選びも伝えている。

 岩佐さんは「溶接の業界に入ってくれる若手を育てるのは面白いし、若いから目に見えて上達する。高校生が頑張れば、モノづくりの底支えになる」と手応えを話す。

 生徒は講習を通じ、日本溶接協会の「溶接技能者評価試験・専門級」の取得が目標。昨年、専門級を取得した機械科3年の藤吉紀貴君(17)=岐阜市=は「岩佐さんに教えてもらうと1日で伸びる実感があり楽しい」と話していた。

 (石井宏樹)

生徒に溶接技術を教える岩佐さん(右)=笠松町の岐阜工業高で
生徒に溶接技術を教える岩佐さん(右)=笠松町の岐阜工業高で