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【静岡】日本語学び再就職を 浜松の南米系外国人学校 失業中の親に指導

2009/04/19

退学生徒急増を受け支援

 浜松市南区の南米系外国人学校「ムンド・デ・アレグリア」が、児童・生徒の親への日本語指導に力を入れている。親の失業に伴って退学する生徒が増えてきたことに頭を悩ませた学校側が、求職に役立てばと手を差し伸べた。

 子どもたちの授業が終わった夕方の教室。「はさみ」「テレビ」「325」…。日本語が不得意なブラジル人の親たちが、ひらがなやカタカナ、数字の読み書きを同校の教職員から教わっていた。夫妻で通っているケースもあるという。

 11歳の娘を同校に通わせているシルバ・ネイリ・イウク・ソノダさん(45)は「1カ月半くらい前から仕事がない。日本語は難しいけど頑張るしかない」と片言の日本語を交えて話す。

 親への指導を始めたのは昨年12月。10月ごろから親が失業して学校に通えない子どもが増え始め、今年1月までに107人中30人が退学した。授業料免除などの対策も取ったが「就職して賃金を得られるようにならないと問題解決にならない」との思いから、まず日本語を身に付けてもらうことにした。

 指導開始当初、不況はそれほど深刻にとらえられておらず、通ってきたのは3人のみだった。しかし景気悪化は続き、職を失う親は急増。これまで40人以上が指導を受けた。漢字での履歴書の書き方や面接指導などをする傍ら、松本雅美校長が仕事探しもする。

 「以前は日本語ができなくても仕事があったが、今は失業した日本人との取り合い。最低限の言葉を覚え、やる気がなければ仕事は見つからない」と松本校長は話す。

 指導は厳しく、宿題も課す。2回連続で無断欠席すれば、次からの出席は認めない。昨年8月に来日したばかりで不況に直面したブラジル人アルビス・クラウジオ・マセードさん(40)は「今すぐにでも仕事が欲しいから頑張っている」。

 「300件の仕事に当たり、外国人でもOKと言ってもらえるのは2、3件。それでも学校が推薦するというのは、会社側にとっても大きな要素です」と、松本校長自ら面接に同行する。4月いっぱいは指導を続け、できる限り多くの親に仕事を紹介していく考えだ。(報道部・鎮西努)

日本語指導を受ける外国人の親たち=浜松市南区のムンド・デ・アレグリアで
日本語指導を受ける外国人の親たち=浜松市南区のムンド・デ・アレグリアで