2025/04/17
高卒の求人倍率 過去最高
大企業と中小企業の賃上げ格差は是正の兆しが見え始めたものの、大手並みの待遇改善が難しい中小が、新卒採用に苦労するケースは少なくない。人手不足感が強まる中、若手を確保しようと、大企業は初任給アップや20代の賃上げに積極的で「採用競争についていけない」との声も上がる。(市川泰之)
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「新卒が採れない」。愛知県内で自動車部品を手がける中小企業の社長はため息をつく。20代の若手を中心に一昨年以降、3~4%程度の賃上げを実施し、初任給も同程度引き上げてきた。だが新卒の大半を占める地元の高校からの新卒採用が年々難しくなっている。
業績は好調だが、賃上げ原資の確保は容易ではない。納入先に価格転嫁への理解を求めるのは一苦労。昨年、取引先に納入する部品の値上げを依頼したが、複数回の交渉でも首を縦に振ってもらえず、公正取引委員会への通報をちらつかせ、ようやく認められた。社長は「昔より言いやすくなったとはいえ、下請けが価格転嫁をお願いするのは相当な覚悟が必要」と明かす。
何とか確保した原資を社員に還元し、能力が高い20代なら5%近い賃上げで頑張りに報いているが「大手とは勝負にならない」と漏らす。最近は新卒にこだわらず、中途でも積極的に採用する方針に転換した。
厚生労働省によると、今年3月に高校を卒業した新卒者の求人倍率は、昨年9月末時点で前年同期比0・12ポイント上昇し3・91倍で過去最高。愛知は0・44ポイント上昇の4・78倍で都道府県別では全国4位の高さだった。社長は「若手を採らないと会社は続かない。稼ぐ力をつけるしかない」と語る。
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