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【愛知】漁業者減少、歯止めかからず 県、資源回復に力

2019/09/25

 農林水産省が5年に1度実施している調査「漁業センサス」で、2018年の県内の漁業就業者数は3373人となり、前回の13年と比べ946人(21・9%)減となった。1963年以来、11回連続の減少。後継者不足による全国的な傾向だが、県は近年のアサリの激減などで廃業に追い込まれている漁業者も多いとみて資源回復に力を入れている。

 漁業就業者数は98年に6133人で、この20年で半数近くに減ったことになる。63年は2万3883人だった。漁船隻数は前回比21・6%減の3154、漁業経営体数は同18・1%減の1924だった。

 漁業種類別の経営体数でみると、「採貝・採藻」が前回の796から536に大きく減少している。県水産課の担当者は「好景気と雇用環境の改善で『陸』に人をとられたのと、アサリの激減が影響している」と分析する。

 県によると、県内では主に西三河地方で採れ、一時は全国の漁獲量の6割を占めていたアサリは、2013年の1万6063トンから18年は1900トンに。アカガイ、トリガイなどでしのいでいる漁業者もいるが、操業を断念する人も多いという。

 資源回復を目指し、県は人工の干潟・浅場の整備を続けてきた。本年度は新たに西尾市の海岸に砕石を入れて、アサリの稚貝が育ちやすくなる増殖場一ヘクタールの造成を進めている。

 18年のセンサスで個人の漁業者のうち、後継者がいると答えたのは18・2%にとどまる。同課の担当者は「十分な収入が確保されれば後を継ぐ人も増えるはず。資源回復や消費拡大の取り組みを進めたい」と話す。