2016/12/06
海外子会社も参加練習、応援で一体感
ことしで70回目となるトヨタ自動車の職場対抗駅伝大会が4日、愛知県豊田市保見町のトヨタスポーツセンターであった。過去最多の545チームが出場。応援の家族を含めた参加者はトヨタ単体の従業員の4割強となる3万1000人に上り、職場の一体感と活力を醸成する一大行事になっている。(宮本隆彦)
◇ ◇ ◇
チームの顔ぶれは多彩だ。工場従業員、開発エンジニア、総務や人事などの事務職に加え、国内の子会社、中国、タイ、オーストラリアなど海外11カ国の子会社からも参加した。豊田章男社長は開会式で「世界に広がりながらも、心一つにやっている会社だと改めて感じた」と述べた。
30・5キロを8人でたすきをつなぐロングなど4部門あり、陸上競技場、野球場、ラグビー場などを備えた社有のセンターを周回する。コース沿いは応援の社員の姿が切れ目なく、「がんばれ広瀬工場」などと職場ののぼり旗がはためく。家族連れも目立った。
駅伝大会は戦後間もない1974年に10チームが参加して始まり、会社の発展とともに開催規模を拡大していった。休日を使った社員の自主活動ながら「人材育成に大きな意義がある」(人事部)と会社も施設利用などで支援する。上位チームは「大会翌日から来年への練習を始める」(広報部)といい、昼休み練習や週末合宿も当たり前だ。
企業の社内運動会は、プライベート重視の風潮や景気低迷のため下火となって久しいが、トヨタでは2009年3月期の赤字決算の時でさえ「駅伝の中止は議論にもならなかった」(同)という。
シニア部門で走った広瀬工場エレクトロニクス製造部の恒松博樹さん(43)は、入社1年目に先輩に連れられて出場以来、途切れることなく、この日が24回目。「仲間に期待されて練習を頑張ればタイムが伸びる。切磋琢磨(せっさたくま)しながら交友も広がる。その魅力にはまってしまった」と語る。培った体力や根気、同僚とのコミュニケーション力が仕事に生きているといい、自主活動で社員のやる気を高めるトヨタの手法を「よくできた仕組み」と笑った。
経理本部チームで出場した原価改善部の新入社員、窪田智一さん(22)は、独特な社内文化に戸惑いを感じたとしつつ「仕事に厳しい先輩は練習でも厳しかった。仕事を離れて付き合ったことで人間として自分に向き合ってくれているのだと分かった」と話した。
転職・求人情報検索(名古屋市・愛知県・岐阜県・三重県)はトップから