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【愛知】母子家庭寄り添い10年 栄の「ジョイナス」 就業支援や交流に尽力

2016/10/30

 栄の中日ビル九階にある「母子家庭等就業支援センター名古屋市相談室」(愛称=ジョイナス・ナゴヤ)が、開設十周年を迎えた。スタッフにシングルマザーが多いという強みを生かして、当事者に寄り添った事業を展開している。(戸川祐馬)

 ◇ ◇ ◇

 2006年6月に開設した。企業の紹介や相談などの就業支援のほか、同じ境遇のひとり親が仲間づくりや情報交換できるイベントも開催する。就業支援は母子家庭の母親限定。運営は、市が社会福祉法人県母子寡婦福祉連合会に委託している。

 最も力を入れているのは就業支援だ。企業には「母子家庭の女性は休みがち」という誤った認識を持っているところもあるため、求人開拓の担当者が各社を回って説明する。母子家庭に理解のある事業所を探すとともに、窓口では母親たちに子どもが病気になったときの預け先などを助言。女性が継続して働き、収入を確保できるよう支援している。

 ハローワークも最近、区役所に窓口を設けて母子家庭の就業支援に取り組むが、室長の加藤貞子さん(62)は「一人一人に寄り添うことで、きめ細かい支援をしている」と差別化を図る。単に求人企業を示すだけでなく、カウンセリングをして相談者に向いている仕事を分析した上で紹介。仕事の人間関係などに悩みがちな人には、臨床心理士による心理カウンセリングから始めている。

 ほかに、パソコンや医療事務、介護など、資格取得のための無料の講習会も用意している。

 仕事以外でも、ひとり親は「頼るところがない」「子どもにスポーツを教えられない」などと思いがち。料理教室やクリスマス会など本年度は六回企画。30日には名古屋グランパスのスクールコーチによる健康講座があり(当日参加不可)、親子で体を動かす機会を提供する。ジョイナスの職員七人のうち5人はシングルマザー。当事者だからこそ思い付く企画が多い。

 加藤さんは「一人で考え込まないで。少しでもSOSを出せば、いろんな方法を提示できます」と利用を呼び掛ける。(問)ジョイナス・ナゴヤ=052(252)8824

相談窓口の利用を呼び掛ける加藤さん(右)=中区栄4で
相談窓口の利用を呼び掛ける加藤さん(右)=中区栄4で