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【暮らし】デキる振る舞い術 女性管理職に人気

2016/10/10

 仕事ができるよう振る舞う方法や好印象を与える服装を学ぶ研修が、女性管理職に人気だ。何げないしぐさで自信がないように見えてしまったり、その場にそぐわない服装で悪い印象を与えたりすることは、少なくない。女性活躍推進の動きが広がり、成果を上げるための努力を惜しまない女性が増えている。

 ◇ ◇ ◇

 出版大手のプレジデント社(東京)が5月末に、東京都内で開いた「女性リーダーの振る舞い方」を学ぶセミナーには、全国から30~40代を中心に約40人が参加した。

 「会議の時、手を膝に置いて小さくなっていませんか」。講師の呼び掛けにうなずく参加者も。「それでは、こけしみたいに見えてしまう。手をテーブルに置き、キャスターみたいに肘を張る。そうすれば体を大きく堂々と見せることができますよ」

 講師を務めたのはスピーチ指導の専門家の矢野香(かおり)さん。「男性中心の社会では女性の意見はどうしても通りにくい。重要な会議では自己表現の工夫が必要」と、堂々と見せることの大切さを語る。

 矢野さんは人と話す際の立ち位置も解説した。部下を指導する時は、視線が真正面からぶつからないような位置に立つと話しやすいと説明。「相手が手を前で組んだり、書類を胸に付けたりしたら、近づき過ぎかもしれない」と助言した。

 職場でリーダーを務める女性(32)は「同じようなことを提案しても男性の案が採用され、悔しい思いをしてきた」と振り返る。会社役員の女性(59)は「人の心理や行動パターンを学べた。営業の仕事に生かしたい」と意気込みを語る。

 服装の工夫も自己アピールに役立つ。「仕事では男女とも着たい服を着るのではなく、自分をどう見せたいか、相手の目線で選ぶのが基本」と訴えるのは、企業役員や芸能人のスタイリストを務める高野いせこさん。

 普段問題ないと思っている服装にも盲点がある。後ろがストラップ型のパンプスはかしこまった場ではふさわしくない。男性の黒のスーツはフォーマル用でビジネスには不適切と説明する。

 組織変革の相談業務を手掛けるアイマム(東京)では、女性社員が高野さんの指導を受けた。縦の線を意識し、タイトスカートをはくことで、全体的にきりっと引き締まり、仕事ができる印象が強まった。「周囲に驚かれた。気持ちも引き締まり、やる気も出た」と女性社員は話す。

 社員の振る舞い方や服装などのリスク管理も手掛けるNPO法人「日本リスクマネジャー&コンサルタント協会」の石川慶子理事は「髪形、服装や姿勢、歩き方、座り方などの立ち居振る舞いは二の次にされがちだが、謝罪の場面などでは一歩間違えると命取りになることもある」と話し、企業経営にとって重要だと指摘した。

「女性リーダーの振る舞い方」を学ぶセミナー。中央が講師役の矢野香さん=東京都千代田区で
「女性リーダーの振る舞い方」を学ぶセミナー。中央が講師役の矢野香さん=東京都千代田区で