2016/09/09
10月から始まるパート主婦らの社会保険の適用拡大。勤務先の従業員数が501人以上で週の労働時間が20時間以上、月収が8万8000円(年収約106万円)以上などの条件を満たすと、厚生年金と健康保険の保険料を納めるのが原則だが、基準すれすれで働く人にはどう適用されるのか。制度開始を間近に控え、読者の質問をもとにまとめた。
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◆残業扱いのケースは
Q/「20時間以上」や「8万8000円以上」に残業分は含まないとのことですが、契約した勤務日以外でも人手が足りないときに働くことがあります。この場合は残業になりますか。 =愛知県、パート主婦(55)
◆契約外は含まない
A/厚生労働省などによると、残業には2種類の考え方があります。まずは法律で決まった労働時間(1日で8時間、1週間で40時間)を超えた勤務。一方、法律で決められた時間内でも、勤め先と契約した勤務日や時間以外に働けば、こちらも残業の扱いになります。
週20時間に該当するのは、あくまでも契約で盛り込まれた勤務。人手が足りないときに働いたり、忙しかったため時間を延長したりする契約外の残業は、20時間に含みません。
ただ、契約外の残業が常態化していれば話は別。厚労省は「契約が週20時間未満でも、実際は週20時間以上の勤務が2カ月続き、今後も同じ状況が見込まれる場合は、20時間以上の契約として扱う」と通達を出しています。
これをもとに考えると、年末年始の12月と翌年1月が忙しくて基準を満たしても、2月からの契約通りの通常勤務で基準に達しなければ、加入の対象外となります。
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◆繁忙期、閑散期がある
Q/小学校で事務のパートをしています。学校がある時期は毎週30時間近く働いており、月収は9万円余り。しかし夏休みなどの長期休暇は休みで、丸ごと休みの月も。実際の年収は100万円に達しません。私も社会保険に加入するのでしょうか。今後、配偶者控除も見直されそうですが、基準は違うのでしょうか。 =愛知県、50代主婦
◆通常の勤務で判断
A/厚労省によると、夏休みなどは除外し、通常勤務が基準を満たしているかで判断するのが原則としています。年金課担当者は「年末年始など忙しい時期に残業して基準に達したり、暇な時期に基準を下回ったりした場合は例外とする」と話しています。仕事がゼロの月があるこのケースでは、急きょ出勤を求められる可能性があるなど、仕事のない月でも指揮命令下にあれば、加入対象になるとのことです。
配偶者控除の見直しは、政府が2017年度税制改正に反映させるため、今秋から議論が本格化します。所得税が安くなる配偶者控除を受けられるかは、年収が103万円を超えたかどうか実績で判断するのに対し、社会保険は労働契約という見込みで加入が決まります。
厚労省によると、社会保険の加入を実績で判断すると、「厚生年金と国民年金、健康保険と国民健康保険(国保)を行ったり来たりする恐れがあり、働き手と企業の双方にとって不都合が出る」とのこと。保険料や納め方が異なる上、健康保険と国保では保険証を切り替える必要があるためです。
年金課担当者は「制度を安定的に運用するため、働き始める段階で判断している」と説明しています。
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