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【社会】短期決戦 就活本番2カ月早く採用面接解禁

2016/06/02

 来春卒の大学生に対する企業の採用面接が1日解禁され、就職活動が本番を迎えた。経団連のルールが2年続けて変わり、面接解禁が2カ月早まった。会社説明会解禁は昨年と同じ3月だったため、説明会開始から面接までの期間が3カ月に短縮され短期決戦となる。

 6月に面接して月内に事実上の採用内定を出す大手企業が多い。ただ経団連ルールにとらわれない外資系や中小企業の一部は既に内定を出し、就職情報会社の調査で、5月1日時点で2割超の学生が内定を得ている。人手不足で企業の採用意欲は高く、学生優位の「売り手市場」が続く。企業は優秀な学生の確保を狙ってしのぎを削る。

 就活が早期化し学業を妨げているとの批判を受け、経団連は「採用選考に関する指針」で、2016年卒採用で面接などの選考活動解禁を4年生の4月から8月に繰り下げるなど日程を変更した。しかし今度は「就活が長期化した」などと問題が続出。経団連は来春卒の採用活動で、会社説明会解禁は3月のまま維持する一方、面接解禁を2カ月前倒しした。

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◆学生「気付けばもう面接」

 名城大(名古屋市天白区)人間学部四年の男子学生は、地元卸売業の内定を確保した上で、今月中旬、大手製造業の面接に臨む。「今年は短期勝負と聞いて、模擬面接など早めに準備をしてきたが、気付けばもう面接の時期。第一志望なので気合を入れたい」と緊張気味に話した。

 学生の就職活動を指導する名古屋市中区の内定塾名古屋校によると、企業側の高い採用意欲を反映して、大手の地元製造業などを志望する学生が多いという。指導する担当者は「まだ業界などの研究が浅い学生もいるが、多くの学生は早期に動いて、準備をしてきた」と話した。

 就職活動を支援する愛知学院大キャリアラウンジ(名古屋市北区)の木林利行室長は「昨年までの情報があまり役に立たず、手探りの就職活動になっている学生もいる。ただ、今年は求人は多く、企業側の採用意欲も高いので、うまく学生の希望にマッチさせたい」と話した。

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◆中部の企業は囲い込み躍起

 中部地方の大手企業は1日、採用面接を始めた。昨年よりも2カ月早まったため、早めに内定を出したり、本社以外の東京にも会場を設けたりと、優秀な学生を囲い込む動きがみられる。学業に配慮して土日にも面接を行う企業も出ている。

 鉄道車両メーカーの日本車両製造(名古屋市)は、文系学生を中心に約40人と面接を始めた。技術系20人程度、文系7人程度の採用を予定しており、売り手市場を意識して「良い人材を早めに囲い込みたい」と、早ければ6日ごろから内定を出す。技術系採用枠の半数以上は学校推薦で実質埋まっており、6月に正式に面接して内定を出す。

 中部電力の名古屋市東区の本店では、スーツで身を固めた学生が緊張の面持ちで係員の案内を受け、面接室へと向かった。

 3月の説明会開始から面接までの期間は昨年より2カ月間短くなったが、トヨタ自動車グループの商社、豊田通商(名古屋市)は「説明会を昨年とほぼ同じ回数開き、学生との接点を減らさないよう意識した」(広報)と話す。

 自動車部品メーカー大手、デンソーは本社のある愛知県刈谷市のほか、東京でも一次面接を始めた。愛知銀行も名古屋市の本店のほか、東京都内や京都市など9会場で計200人余りの学生の面接をする。

 名古屋銀行は名古屋市の本店でグループ面接を実施し、約80人の選考を行う。学生の負担を減らそうと土日にも面接をする計画だ。

【採用選考に関する指針】 経団連が大学生・大学院生の採用活動日程について加盟企業向けに定めたルールで、罰則はない。昨年12月に改定し、会社説明会解禁を大学3年の3月1日、面接などの選考活動解禁を大学4年の6月1日に決めた。政府は経団連に加盟していない企業もこの日程で採用活動をするよう求めているが、外資系やIT企業などは指針にこだわらず、大学3年の冬ごろに内定を出す例もある。指針は正式な採用内定解禁を10月1日としているが、経団連加盟企業も6月から事実上の内定を出し始める。