中日新聞CHUNICHI WEB

就職・転職ニュース

  • 無料会員登録
  • マイページ

【愛知】介助犬養成夢かなう シンシアの丘・柴原さん小児がん経験「社会に恩返し」

2016/03/16

 障害がある人の手助けをする介助犬を増やそうと、日進市竹の山の柴原永佳さん(28)が、長久手市の介助犬総合訓練センター「シンシアの丘」で養成に携わっている。幼いころに患った小児がんで多くの人に支えられた経験から「社会に恩返しできたら」と話す。 (並木智子)

 ◇ ◇ ◇

 柴原さんはセンターに入って4月で6年目。東京出身で、神奈川県内の大学に通っていたとき、利用者の代わりに介助犬を散歩させるボランティアをしたことがきっかけで、介助犬に関心を持った。

 それまでは、いつか盲導犬に携わる仕事をしたいと思っていた。生後半年ほどで小児がんを患った。治療中、親戚が輸血に協力してくれた。小学生のときには学校の先生が入院した病院まで勉強を教えに来てくれた。「たくさんの人に助けられて自分がいるんだと感じた」

 小学校高学年のときに読んだ本で盲導犬の存在を知り、好きな動物を介して障害や病のある人を支援したいと夢を温めてきた。

 大学生のとき、ボランティアで関わったゴールデンレトリバーの介助犬と利用者の生き生きとした姿に、思いが変わった。「お互いが相棒という感じで、笑顔のある生活がすてきだった」

 介助犬は、まだ一般に認知度は高いとは言えない。大学生時代に出会った〝ふたり〟のように、楽しく生活する人を増やしたいと、大学卒業後、この仕事に就いた。

 以来、広報部に所属し、イベントに出るなど啓発活動を続けてきた。昨年4月からは訓練部に移り、犬舎の管理などを担当している。

 これまで、介助犬との生活を希望する人たちと多く出会った。家から歩いて5分のコンビニに1人で買い物に行きたい、仕事に復帰したい-。日々の世話に不安を持つ人もいるが、「介助犬がいることで、一緒に何かをやってみたいと前向きになれる」と利点を話す。

 長久手や日進など、この地域に介助犬の利用者はあまりいないといい、「近くの人にもっと介助犬と一緒に生活してほしい」と願っている。

    ◇

 5月21日に長久手市の愛・地球博記念公園内の地球市民交流センターで介助犬フェスタが開かれる。社会福祉法人介助犬協会主催で、柴原さんも運営に携わる。シンシアの丘=0561(64)1277

介助犬の養成に奮闘する柴原さん=長久手市のシンシアの丘で
介助犬の養成に奮闘する柴原さん=長久手市のシンシアの丘で