2016/03/01
介護による離職が問題となる中、県が県内企業3507社を対象に初めて実態を調査した。この結果、回答した9割の企業が「仕事と介護の両立」を図る必要性を認識しながらも実際に従業員の介護の状況を把握できているのは半数にとどまり、15・9%の193社で介護を理由とした退職者がいたことが分かった。
製造業を中心に1213社から回答があった。従業員の介護について把握状況を尋ねると、「十分に把握」は3・1%にとどまり、「一定の把握はできている」が44・5%、「あまり把握できていない」が43・7%だった。
過去3年間に介護に伴う人事労務上の対応を迫られたのは44・2%。具体的な状況は「退職者がいる」が15・9%、「介護休業利用者や休職者がいる」が11・6%だった。
退職者や介護休業利用者を役職別に見ると、管理職や係長級よりも一般社員や非正規社員の割合が高かった。県労働福祉課の担当者は「年齢層では管理職が多いと予想していた。責任ある立場の社員は報告しづらく、表に出てこないのではないか」と指摘する。
厚生労働省の調査では、介護を理由に離職をした人は年間10万人に上る。県の調査では、介護休業や介護休暇など、介護に直面する従業員への支援制度を利用した社員がいる企業は全体の37・8%。利用の内訳は、「半日や時間単位での休暇取得」が22・1%と最多で、介護休業は15・5%にとどまっている。
介護休業制度は現在、まとまって九十三日間で取得しなければならず、使い勝手が悪い。今国会に九十三日間を三分割できる育児・介護休業法改正案が上程されている。
介護休業などの支援制度を利用しづらい背景には、長期的な昇進や昇格に影響することへの懸念もある。県の調査で「影響する」「やや影響する」と答えた人は12%だったものの、「分からない」が43・8%を占めた。県担当者は「介護はみんなが直面する問題。マイナス評価しない考えが進んでほしい」と話す。
県は2016年度当初予算案で、中小企業向けに支援制度の導入マニュアルを作成するため、460万円を盛り込んでいる。 (奥田哲平)
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