2016/01/29
中部地方の経済団体が教育現場への出前授業に力を入れている。中部経済同友会は経営者による特別授業の対象を生徒だけでなく、教員にも拡大。中部経済連合会は若手社員らを大学へ派遣する事業に参加する企業や大学を増やす方針で、企業人も人づくりに貢献しようとの機運が高まっている。(白石亘)
同友会で教育問題委員長を務める名鉄百貨店前社長の神野重行氏(68)が28日、名古屋市立菊里高校で講演した。鉄道や百貨店などの現場で、部下や顧客の心をつかむため実践してきたあいさつを実演。「顔を見て目を合わせ、笑顔を添えれば明るい声が出る」と紹介した。
孫ほど年の離れた2年生320人が相手。「会社の訓示と勝手が違い、緊張した」と苦笑する神野氏だが、加藤雄司校長(60)は「将来の職業を考えたり、社会について知るきっかけになる」と評価する。
2001年から中学や高校で特別授業をし、これまでに80回の授業を実施。一五年度からは教員向け研修の講師も引き受ける。神野氏は「教育効果を高めるには、毎日生徒たちに接する先生が大事」と語る。
中経連は昨年1月から、出前授業を希望する大学と講師を引き受ける企業人をつなぐ「企業・人材プール」を始めた。現在14の会員企業と愛知県内の4つの大学が加わっているが、4月からは参加する大学と企業を倍増させる。
若手や中堅クラスの社員がすでに7回の出前授業を行った。社内で女性に活躍してもらうために人事部の担当者だったらどうするか議論する授業もあった。
企業側には、学生に仕事で求められる主体性やコミュニケーション力を高めてほしいとの願いがある。中経連の村田純一企画部長(51)は「仕事に取り組む姿勢は、社会で実際に活躍する人から直接聞くと一番よく伝わる。産学連携による人材育成に地域全体で取り組みたい」と話している。
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