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【地域経済】「マイナンバー」「ストレスチェック」導入 企業担当者 対応に大わらわ

2015/12/10

 通知が始まったマイナンバー制度とともに、働く人の心の健康を守るストレスチェック制度が今月から始まり、企業の総務人事担当者が対応に追われている。従業員のマイナンバーを収集・管理しなければならない上に、多くの企業でストレスチェックの準備も必要なためだ。しかし、マイナンバーの対応に追われ、ストレスチェックまで手が回らない状況という。

 2つの制度運用の開始に合わせ、東海地方でも対策セミナーが盛ん。11月末、両制度の業務支援サービスを行うオービックビジネスコンサルタント(OBC)名古屋支店が名古屋市内で開いた「マイナンバー&ストレスチェック直前対策セミナー」には、中部3県の企業から人事総務担当者ら約50人が参加した。

 愛知県内の産業機械メーカー担当者は「どちらも情報収集中」と焦る。マイナンバーは収集・管理方法を詰めている段階。「情報管理に注意しないといけないが、他の業務もある。年末は繁忙期なのに」と身構える。

 「企業に作業を押しつけられている。しんどい」と話すのは、自動車部品メーカー担当者。マイナンバーの収集・保管は専用システムを導入するか検討中。ストレスチェックの準備は手つかずで「具体的な作業イメージがつかめない。担当者がストレスを抱えそう」と苦笑いした。

 OBC担当者は、マイナンバーの通知遅れを踏まえ「企業の収集作業は越年しそう。それ以降しかストレスチェックの準備ができない企業は多い」と話す。

 企業はこの年末から、従業員のマイナンバーを収集する。ストレスチェックは50人以上の事業所に義務づけられ、従業員のストレス検査を12月から来年11月までに1回実施。OBCによると、質問票の準備、専門医との契約などがあり、一連の作業は7カ月ほどかかると見込まれる。(今村節)

【ストレスチェック】 対象者は正社員だけでなく、雇用契約1年以上の契約社員らも含む。派遣で働く人は派遣元が実施する。質問票は「ひどく疲れた」「へとへとだ」といった項目から当てはまるものを選ぶ形式。医師や保健師らがストレスの高い人を判定し、結果を本人に直接通知する。高ストレスの場合、医師の面接指導を受けられる。事業者は医師の意見を聞き、勤務時間短縮などの措置を取る必要がある。労働者50人未満の事業所では実施が努力義務。