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【大学】ただ今就活中/体験記(上)主将の経験 生きた

2015/12/01

 採用スケジュールが例年より4カ月遅くなった2015年度の就活。初めてづくしの中、多くの学生が苦労したが、大学時代に打ち込んだことなどを支えに内定を得た学生がいる。体験を3回に分けて紹介する。

      ◇

 名古屋市立大人文社会学部4年の堀田長良さん(22)は、野球少年だった。小学校から野球を始め、高校で捕手に。大学では友達に誘われて、準硬式野球部に入部。3年生の時に主将を務めた。「部活で得た経験が就活で役立った」と振り返る。

 準硬式野球で使う球は、外側が硬式の球より柔らかく、初心者も競技を始めやすい。主将兼監督だった堀田さんは、チームメートの練習を見ながら、ポジション編成も考える立場だった。

 堀田さんが忘れられない仲間の言葉がある。練習を頑張った仲間に「試合に出たくないか」と尋ねると、「あいつも頑張っているから、今回はあいつを出してくれないか」と答えが返ってきた。予想もしなかった返答に「自分の思っていることだけで人や社会は動かない」と感じた。

 部活を引退してから1年間、米国の大学に留学するつもりだったが、昨年12月、留学先の選考に落ちた。親に迷惑はかけられないと就活を始めたものの、部活を休んでまで行く必要はないと、インターンには参加しなかった。2月に学内で開かれた説明会に出て、情報を集めた。

 堀田さんは合同説明会でブースへ入らず、近くの若手社員から社風を聞いて回った。「自分と立場の近い人の意見が聞きたい。それに、部活で多くの人の話に耳を傾けないとダメだと気付いたから」と理由を語る。各社のセミナーなどにも出席し、実際に働いている社員から生の声を聞いた。

 興味を引いたのが名古屋と東京を拠点とする総合商社「豊田通商」。説明会で社員の話が面白く、世界中で仕事をしているスケールの大きさに驚いた。八月に豊田通商の総合職で内々定を得た。堀田さんは「就活も自分の可能性を広げる機会だから、楽しんでやってほしい」と話している。

就活で使っていた手帳をめくりながら、体験を語る堀田長良さん=名古屋市立大で
就活で使っていた手帳をめくりながら、体験を語る堀田長良さん=名古屋市立大で