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【地域経済】職場発泣き笑い/老舗の苦労 一石二鳥

2015/11/18

 えびせんべいの老舗、桂新堂(名古屋市)の各務智美さん(37)は、関西地方の13店舗を統括するエリアマネジャーだ。新人時代に先輩から指導された経験は今も鮮明という。老舗ゆえに年配客が多く、言葉遣いやマナーなど「一般常識を学んだ」と振り返る。

 ◇ ◇ ◇

 入社したてのころ、店に来たお客さまから「おうすちょうだい」と言われて、「おうす」の意味がわかりませんでした。先輩に聞いて「抹茶」を指していると知りました。

 お客さまがお帰りになるとき、忘れ物がないか席のまわりを確認して、お客さまに「結構ですよ」と言ったことがあります。「大丈夫ですよ」という意味のつもりでしたが、お客さまに「その言い方はないでしょう」と指摘されたことも。

 江戸時代から約150年続く老舗で、1箱数1000円もする商品があります。入社当時は自分自身食べたことがなかったので、お客さまに「どんな味ですか?」と尋ねられ、説明するのに苦労しました。

 名古屋市熱田区の本店では抹茶を提供しており、スタッフは茶道の先生から作法を学びます。制服は着物とはかま。最初は慣れない着付けに苦労し、30~40分もかかっていました。

 言葉遣いや茶道、着付けと、仕事で学んだことが自分の教養になり、一石二鳥でした。