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【社会】ハローワークに地方版 政府検討 職業紹介、自治体も

2015/11/13

 政府が地方分権改革の一環で、都道府県などに対し独自に無料職業紹介事業を行うことを認める方向で調整していることが12日、分かった。厚生労働省が所管する公共職業安定所(ハローワーク)とは別に、「地方版ハローワーク」(仮称)が設置できるようになる。住民に身近な自治体が相談から紹介までをワンストップで行うことにより、利便性の向上が見込まれる。早ければ来年の通常国会への職業安定法改正案の提出を目指す。

 内閣府地方分権改革有識者会議(座長・神野直彦東大名誉教授)の雇用対策部会が20日、こうした内容を盛り込んだ提言を策定。政府は年内に、分権に関する新たな対応方針を閣議決定する見通しだ。これに先立ち全国知事会地方分権推進特別委員会の平井伸治委員長(鳥取県知事)は12日、石破茂地方創生担当相と面会し、地方版ハローワークの創設を要請した。

 実現すれば、自治体が求職者に対し就職相談から職業紹介まで一貫して対応できる。地元中小企業の育成や企業誘致の施策と連携した求人情報の充実やマッチングに取り組むことも可能となる。

 現行法では、ハローワークの設置権限は国が持つ。自治体が職業紹介事業を行うには厚労相への届け出が必要で、対象者は生活困窮者などに限られてきた。検討中の改正案では、限定条項を撤廃または修正し、例えば、市役所の窓口などで自由に職業紹介ができるようにする。

 政府はまた、国のハローワークと同じフロアで都道府県や市町村が就労支援を一体的に行い、知事がハローワークに指示できる権限を認める「ハローワーク特区」も法制化し、全国展開を目指す。特区は2012年10月から埼玉、佐賀両県で導入したが、他の自治体からも要望があり、全国に広げることにした。