2015/11/12
伸和交通
名古屋のタクシー大手、つばめグループの「伸和交通」(名古屋市)が、企業内保育所を設けるなど若い夫婦や女性運転手の採用に力を入れている。高齢化が深刻なタクシー運転手の若返りを図るのが狙いで、同業他社の見学も相次ぐなど注目を集めている。(今村節)
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社員寮1階の事務所を改造した企業内保育所「伸和キッズランド」。動物や花の絵で飾られた室内に、1~3歳の子どもたち4人の笑い声が響く。2012年に開設され、4人の保育士が平日だけでなく、土曜日や一部の祝日でも働く親のために子どもの面倒をみている。
病院の診察を終えた子どもを預けに来た原川淳二さん(45)は、今春から妻の美奈子さん(39)とともに同社のタクシー運転手として働く。淳二さんの転職先と美奈子さんの再就職先を探していたところ、年齢の違う子どもを同時に預けられる同社を知って入社したという。
国の助成金があるとはいえ、年間で約700万円の赤字。しかし金指(かなさし)鉄男専務(63)は「求人広告費と考えている」と割り切っている。「こちらの仕事内容を理解してもらえているので、コミュニケーションが楽」(淳二さん)、「遠方までお客さまを乗せることもある。お迎えの時間など、融通をきかせてくれて助かる」(美奈子さん)など若い夫婦の働きやすい環境づくりにつながっているからだ。
一方、5年前に始めた女性運転手の採用では、入社、勤務しやすい環境づくりに力を入れている。採用面接では、夫の同席を認めて妻の業務内容を理解してもらうほか、昼間限定の勤務体系も取り入れた。
今では全体の1割あまりにあたる20~50代の14人にまで増え、全従業員の平均年齢も運転手が男性だけだった時代に比べて6歳ほど下がった。金指専務は「若い運転手を増やさないと、お客さまが求めるサービスに応えることが難しくなる」と話す。
厚生労働省調査では、企業内保育所の数は全国で4480カ所と、10年前に比べて千以上増加。第一生命経済研究所の的場康子・上席主任研究員は「公的支援が拡充し、企業が保育所を設けやすくなった。企業内保育所は親の働き方に合わせやすく、企業にとって人材確保の効果が高い」と話している。
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