中日新聞CHUNICHI WEB

就職・転職ニュース

  • 無料会員登録
  • マイページ

【社会】学生困惑 単位は、留学は… 就活ころころ変えないで

2015/11/10

中小企業は歓迎

 大学生の採用面接開始時期について、経団連が8月解禁を1年で見直し、来年から六月に前倒しする方針を示した。大学関係者や学生には不安が強く、中小企業からは歓迎の声が上がった。

 名古屋外国語大(愛知県日進市)担当者は「いったん決めた以上、3年は続けてほしい。時期を毎年、変えられたら、指導もその都度、変えないといけない」。8月解禁を見込んで来年6~7月まで海外留学を続ける3年生もおり、就職活動に出遅れる可能性があるという。

 国公私立大などでつくる就職問題懇談会は今月、経団連に、授業期間への影響などから、大学側と協議して決めるよう求めたばかり。6月は公務員の採用試験とも重なるため、名古屋市立大キャリア支援センター担当者は「民間と掛け持ちで受ける学生には厳しい日程になる」と不安視。名古屋大就職支援室も「就活の長期化は改善されるが、六月は授業期間中。土日に選考会を開催してほしい」と求めた。

 直接、影響を受けるのは現在の3年生だ。岐阜県内の私大3年の男子は「来年の前期は就活に追われ、単位取得に影響が出かねない。学生の立場になって考えているのか」。名古屋市の私大3年の女子は「いつ何をしたらいいかという先輩の助言が役に立たなくなる。毎年、ころころ変えるのはやめて」と話した。

 一方、中京大(名古屋市昭和区)の中里和彦キャリアセンター部長は「8月になったメリットは何もなかった。大手志望の学生が中小の内定まで取り、例年なら内定を取れる学生が取れない状況が生まれた」と指摘、見直しを歓迎した。

 中小企業も期待感が強い。ねじ製造販売の中部製作所(名古屋市熱田区)の大野正博社長は「大手が遅く決まると、こちらもずっと採用活動を続けることになる。今年の悪い点が少しは解消されるのでは」。

 大手が実質的に内々定を出す8月まで、多くの学生が就活を続け、中小企業はその時点で学生の内定辞退を受けることになり、今も苦戦している社が少なくない。金属部品加工の宝製作所(愛知県大口町)の丹羽昭夫社長は「実際にどれだけの企業が開始時期を守るかは疑問だが、中小にとっては多少、いい効果が出ると期待したい」と話した。