2015/10/24
介護など求人説明会
「LGBT」と呼ばれる性的少数者の求職者と、人手不足に悩む介護業界を結びつける全国でも珍しい就労説明会が25日、大阪市で開かれる。東京都世田谷区と渋谷区で同性カップルをパートナーとして認める試みが間もなく始まるが、関係者からは「東京だけでなく、地方でもLGBTへの理解が深まるきっかけになれば」と期待する声が上がっている。(大阪報道部・相坂穣)
説明会を発案したのは、自身、性同一性障害があり、今春、老人ホームの紹介事業を展開する「笑美面(えみめん)」(大阪市西区)に就職した峰山和真さん(22)。
短髪にスーツ姿。どこにでもいる若い男性に見えるが、生まれ持った体は女性だった。中学校はスカートではなくズボンで通い、高校に入ると「オトコ女」とからかわれた。近所のビルに上り、自ら命を絶とうとしたこともあった。
LGBTで、職場での差別や偏見を恐れる人は少なくない。「履歴書の性別欄で男女どちらに○するかでつまずき、正社員は無理と考える仲間も多い」と峰山さん。自身は障害を明かして就職活動を行い「何も問題ない」と理解してくれたのが笑美面だったという。
性別適合手術を受け、戸籍も男性に変更して働き始めたが、すぐに老人ホームに、LGBTの若者を紹介できないかと思いついた。職員の制服に男女差が少なく、バリアフリーのトイレも男女別でなく誰でも利用できることが多いなど、周囲の目を気にせずに働ける環境だったからだ。
介護業界を中心に説明会で求人してくれる企業を募ったところ、全国展開している大手を含め14企業・団体が手を挙げてくれた。参加する採用担当者には事前に、LGBT支援の専門家の講習を受けてもらい、性別適合手術の希望者のための休暇制度、同僚の理解を深める研修会や相談窓口の必要性なども伝えた。
説明会は大阪市淀川区の新大阪ブリックビル3階で、25日午後二時から。各企業ごとにブースをもうけ、会社、業務の説明や、面談を受けられる。参加無料。予約不要で、参加者の住所地も問わない。詳しくはインターネットで専用ページ「レインボーワーカープロジェクト」を検索。
峰山さんは「かつての僕のように、自分は社会にいらない人間なんかな、と悩む人は多い。でも、受け入れてくれる会社はきっとあるよと伝えたい」と話す。
性同一性障害がある名古屋市立大非常勤講師の安間優希さんは説明会について「画期的な試み」と評価。「ハンディキャップの人に寄り添う介護業界では人権意識の高い同僚が多いはず。そこから風穴を開き、就職状況の厳しい名古屋など地方都市にも広まってくれれば」と語った。
【LGBT】 レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(性同一性障害など)の頭文字を取った性的少数者の総称。広告大手の電通が今年4月に全国の7万人を対象に実施した調査では、7・6%がLGBTに該当した。
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