中日新聞CHUNICHI WEB

就職・転職ニュース

  • 無料会員登録
  • マイページ

【愛知】県がイクボス養成に着手 企業、労組と共同で

2015/09/02

 部下のワークライフバランス(仕事と生活の調和)を応援しながら組織の成果も上げ、自らも仕事と私生活を充実させる経営者や管理職を指す「イクボス」。県は、育児に積極的に関わる男性「イクメン」を支援するために不可欠な存在として、企業や労働組合と共同でイクボス養成の取り組みを始めた。

 8月下旬に開かれた「人が輝くあいち・イクボス宣言」署名式には大村秀章知事をはじめ、河村たかし名古屋市長、県経営者協会の清水順三会長、連合愛知の土肥和則会長ら「政・財・労」のトップが出席した。

 宣言では「誰もが健康で豊かな生活を送るために、組織のトップや職場の上司が自らの課題と捉えて行動することがワークライフバランス実現の鍵」と指摘し、多様で効率的な働き方を広める「働き方改革」を推進すると明記した。

 具体的な取り組みとして先進事例を紹介したり、効率的な管理方法を学ぶイクボス養成講座などを開いたりする。また、イクメンとイクボスが活躍する企業を表彰する「あいちイクメン・イクボス応援企業賞」も設けた。

 これまで県は「あいちワーク・ライフ・バランス推進協議会」を設置し、定時退社やノー残業デー、育児や介護と仕事の両立支援などに取り組んできた。

 しかし、積極的に育児に関わる「イクメン」をもっと増やそうと、協議会の傘下に「あいちイクメン応援会議」を創設。会議の中で、イクボスの重要性が指摘されていた。

 会議の委員を務める名古屋大大学院法学研究科の田村哲樹教授は「育児休業など制度はそれなりに整備されているが、男性の育児休業取得率は依然低いレベル」と制度があっても使えない状況があることを指摘。その要因の一つが上司の振るまいや部下の管理の仕方だとして「仕事一筋の時代を生きてきた世代をイクボスに変えるのは難しいが、ワークライフバランスの鍵となる取り組みだ」と話している。

(長田弘己)