2008/12/02
景気後退の大津波が雇用者を直撃している。とくに弱者と呼ばれる非正規労働者は来春までに三万人以上が失業すると予想されている。政府も緊急対策に乗り出す方針だがスピードが重要だ。
麻生太郎首相は一日、正規・非正規社員の区分を廃止した東京の生活雑貨店を視察した。また午後は御手洗冨士夫日本経団連会長ら経済界代表を官邸に呼び、来春闘での賃上げと今後の雇用確保を要請した。
賃上げ要請は今年三月、当時の福田康夫首相が行った光景とダブる。効果は不透明だが、政府が景気対策の一環として賃上げと雇用を取り上げるのは当然である。
世界的な金融危機で日本経済もほぼ確実に不況に陥った。とくに地域経済で圧倒的な存在である自動車や電機などの不振は深刻だ。それが雇用を悪化させている。
厚生労働省によると十月から来年三月末までの間に派遣労働者約二万人を筆頭に期間工や請負など非正規労働者が三万人以上も職を失うという。雇用の調整弁としての“使い捨て”が現実化した。
非正規労働者の存在はすでに巨大である。総務省の労働力調査では雇用者の33・5%、厚労省の就業形態調査では37・8%に達している。今後、失業者が増えれば社会不安は一気に高まるだろう。
雇用保険の失業給付受給者は九月に約六十万六千人と一年四カ月ぶりに増加に転じた。有効求人倍率は約四年ぶりの低水準に落ち込み、完全失業率は来年以降4%台半ばまで高まると予想される。
政府は現在、新たな雇用対策を検討中だ。与党のプロジェクトチームでは雇用保険の適用範囲の拡大や就職支援、職業訓練の強化などを検討している。また失業と同時に住宅退去のケースもあるため住宅支援も取り上げる方向だ。
さらに雇用調整助成金制度を拡充して内定取り消しを防ぐ措置や「ふるさと雇用再生特別交付金」の増額なども検討している。
雇用対策を充実させることは結構だが重要なことは経済対策と同様、実施するタイミングである。
十月末に発表した追加経済対策では二十五-三十四歳の年長フリーター約九十二万人への支援対策を盛り込んだ。企業と個人が負担する雇用保険料も引き下げる。
だが本年度第二次補正予算案の国会提出は来年一月である。経済対策は主要国が行っているようにスピードが鍵だ。緊急雇用対策こそ、実行を急がねばならない。
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