2008/11/04
「福井に帰ってこられてよかった」-。Uターン就職などで県内へ移住する人が増えている。県の後押しで再就職先を見つけた越前市定友町の細井真也さん(38)もその一人だ。
県内の高校を卒業後、筑波大で物理学を専攻。「就職先へのこだわりはなかった」といい、恩師の紹介で埼玉県の機械系の大手企業に就職した。
新装置を開発する仕事はやりがいがあり、会社の待遇にも満足していたが、いつも心の奥に引っ掛かる気持ちがあった。「長男だし、いつか、帰らなくては」
盆と正月に帰省するたび、両親の老いを痛感した。親せきが毎回口にする「早く帰ってこい」が身に染みる。でも、県内に好条件の仕事は少なく、現実的になれなかった。
3年前、何とはなしに登録していた県の「Uターン情報センター」の仲介で、現在の会社の人事担当者と会った。「福井にもこんな仕事があったのか」。当時、35歳。「人生の節目」と決心した。
首都圏と比べ、福井の生活は不便なことだらけ。でも、気が付くとなぜかホッとする。「両親に何かがあったとき、今は自分がすぐに動かなくては」。新たに芽生えたその責任感を、一番うれしく感じている。
◆手厚い支援効果 大阪と東京の県センター
県は昨年9月に「定住サポートセンター」を立ち上げ、組織的な移住者の確保に乗り出した。
県労働政策課によると、県外で働くなどしていて、今年4-9月に県内に移住した人は141人で、前年同期比の2割増。働き盛りの35歳未満が半数を占め、県内企業の貴重な即戦力にもなっているという。
東京と大阪にあるUターンセンターでは、職員が移住希望者と県内企業の面談を仲介したり、無料の住宅相談をあっせんしたりしている。成果は大きく、全移住者の8割が関東と関西地方からだ。
(谷悠己)
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