2008/11/01
障害者自立支援法がサービス利用料の1割負担を義務付けたのは「生存権」などを定めた憲法に違反するとして、東京や大阪、滋賀など8都府県の計30人が31日、国を相手に自己負担の免除と過去に支払った自己負担分など計840万円の支払いを求める訴えを8地裁に起こした。
原告側は「生きるために必要な支援に負担を求めるのは、社会参加を望む障害者への差別だ」と主張。同法によるサービスの自己負担を違憲として提訴したのは初めて。
訴えたのは10-71歳の障害者の男女29人と家族1人。弁護団によると、このほか数十人が提訴する意向を示している。
訴状によると、2006年4月施行の障害者自立支援法は、障害者施設入所費など福祉サービス利用料について、1割の自己負担を義務付けた。
このため、障害者は施設で働く際に1割の施設利用料を支払うことになったが「障害の程度や働く能力にハンディのある人ほど賃金が安い。賃金より負担額が高くなり、働くのをやめざるを得なくなった」と主張。車いすやつえなどの購入費も1割負担になり「障害者に外に出るなと言っているのと同じだ」と訴えている。
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部は「訴状を見ていない段階ではコメントできない」としている。
障害者自立支援法をめぐっては障害者や家族から強い反発が上がり、施行後に2度、負担額の軽減措置をとるなど行政側の対応が混乱した。軽減措置は09年3月までとされる。
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8地裁は東京、さいたま、大津、京都、大阪、神戸、広島、福岡。今後、盛岡、名古屋両地裁などでも追加提訴する方針という。
【障害者自立支援法】 地域での自立と就労支援を目的とし、身体、知的、精神障害者への福祉サービスを一元化した。2006年4月施行。以前の「支援費制度」では障害者の所得に応じた負担(応能負担)だったが、財源確保などのため、サービス利用料の原則1割負担(応益負担)に転換。1カ月の負担上限額が設けられ、通常は3万7200円。低所得者は年収などに応じて2万4600円と1万5000円、生活保護世帯ではゼロとなっている。負担が以前より重くなった人も多いため批判は根強く、独自の軽減策を設けた自治体もある。
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