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【元気のタネ】オーダー指輪で輝く 名古屋・千種の宝飾店「ケイ・ウノ」

2010/05/11

 ブライダル市場を中心にオーダーメードの指輪などを手掛け、名古屋から全国に店舗を展開している宝飾店がある。独自の教育研修システムで、顧客の多種多様な要望に応えるジュエリー職人やデザイナーらを一から養成しているのが強みだ。

 宝飾品の製造から販売まで一貫して手掛ける「ケイ・ウノ」(名古屋市千種区)。店内の装飾は、まるで妖精がすむようなメルヘンの世界だ。

 「こういうイメージでいかがでしょうか?」。店を訪ねると、店員が1~2分で指輪などのデッサンを次々と描いて示してくれる。この“カウンセリング”を1時間ほど続けると最終的なデザインが仕上がる。「指の関節が全部隠れるような指輪を」といった個性的な注文もオーケーだ。

 完成までは約1カ月。途中で要望があれば無料で作り替える。「うちは、お客さんが満足して初めてお金がもらえる成功報酬型ビジネス」と社長の久野雅彦さん(50)。素材などにもよるが、価格は指輪で1個10万円程度が多いという。

 創業は1981年。指輪やブレスレットの販売を始めたがうまくいかず、借金は一時、1億円に膨らんだ。逆境の中で、久野さんは「既製品並みの価格でオンリーワンの商品を」と一念発起、ブライダルのオーダーメード品に的を絞った。

 1品ごとを効率良くこなす作業工程管理の手法に加え、専門のジュエリー職人やデザイナー、販売員を短期間で育成できるシステムの開発に力を注いだ。「特に職人の世界は『見て覚えろ』が伝統。一人前にするのに時間がかかっていた」

 宝石の知識やデッサンの仕方、加工道具の使い方など、自らが独学で学んできたものを基礎から習得できるように体系化。職人なら、2~3カ月で1つの作業工程を任せられるレベルになるようにした。

 業界では「オーダーメードでの多店舗展開は難しい」とされてきたが、現在では全国に17店を展開、約400人の従業員を抱える。2010年9月期の売上高は、前期より4億4000万円多い40億円を見込んでいる。

 ベルトなどの革製品や時計の製作も扱い始め、「デザインなどに不満を抱きながら購入している人は多い。ジャンルを広げ、100パーセント満足してもらえる商品を提供していきたい」と久野さん。目指すのは“オーダーメードの百貨店”だ。

(瀬戸勝之)

オーダーメードのジュエリーで人気を集める「ケイ・ウノ」の久野社長=名古屋市千種区で
オーダーメードのジュエリーで人気を集める「ケイ・ウノ」の久野社長=名古屋市千種区で