2010/04/21
介護NPO法人が早期復職支援 施設のお年寄り「うれしい」
名古屋市を中心に介護事業を手掛けるNPO法人「介護サービスさくら」(村居多美子理事長)の産休明けの職員2人が、NPO法人の早期復職支援の一環で、赤ちゃん同伴の勤務をしている。施設利用者や職員の心を和ませ、周囲に笑顔を生み出す効果が絶大とあって、赤ちゃんは「癒やしのボランティア」と名付けられた。 (安藤明夫)
眠くてむずかる声も、お年寄りには、たまらなくいとおしい-。同NPO法人が運営する愛知県日進市の小規模デイサービス施設「デイサービスさくら100」。理学療法士の浅野理絵さん(29)が生後4カ月の心結(みゆ)ちゃんを連れて出勤すると、利用者たちがすぐに集まってくる。
居間のソファで交代で抱っこをしたり、あやしたり。「赤ちゃんの成長を見られ、本当にうれしい。家内を亡くしてから、つらい日々だったけど、ここに来てまた笑えるようになった」と利用者の山元弘さん(77)。体力の落ちた高齢者が多いため、立って抱っこはしない決まり。いつも職員たちが近くで見守っている。
浅野さんは昨年12月に出産。育児休業を取らず3月初めに復職した。「初めての子だし、家でずっと一緒にいたら精神的に大変だったでしょう。みんなに世話してもらい、助かります」
名古屋市東区の介護サービスさくら砂田橋事業所では、ケアマネジャー山来初枝さん(33)の机近くのベビーカーに、生後4カ月の次女愛沙(ありさ)ちゃんがいた。お昼寝や授乳は、奥の部屋のレンタルベッドを使う。山来さんは出産直前まで働き、法定産休の2カ月が過ぎると、すぐに復帰した。
「毎日、事務所に出入りするホームヘルパーの人たちなど、みんなにかわいがってもらっています。上の子もいるので、今の働き方が無理なら仕事を辞めていたはず。社会の役に立て、育児もできるのはありがたい」
同NPO法人では4年前、出産2カ月で復職を希望した別のケアマネジャーの女性を支えるため、みんなで赤ちゃんを育てようとベビーベッドを借りた。そのときの様子を、理事長の村居さんは「職員たちの笑みがあふれるようになり、私たちが赤ちゃんに癒やされているんだと気付いた」と話す。最近もデイサービスセンターで、心結ちゃんを抱っこする左半身まひの女性が知らず知らず左手を動かしているのを見て、感動したという。
「おじいちゃん、おばあちゃん、小さい子が、当たり前に支え合っていけるのが理想。働く女性に、いい環境を提供したい」と力を込めた。
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