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【愛知】登録急増も雇用伸びず 豊橋市の農業人材バンク

2010/02/11

 農家で働きたい市民と、労働力を必要とする農家をつなぐ豊橋市の「とよはし農業サポーター人材バンク」事業で、市民の登録者数が不況の影響を受けて、昨年から急増していることが分かった。だが農家側からは「農業の経験がない人は使いにくい」との声も上がっており、実際に雇用につながったケースは少ないとみられる。

 サポーター人材バンクは、繁忙期の人材不足に悩む農家を支援しようと、2005年度から開始した。市民と農家がそれぞれ登録申請書に連絡先などを記入し、市農政課にある台帳を閲覧して、直接交渉する。

 初年度の市民の登録数は44人にとどまり、登録抹消もあって、ほとんど増えていなかった。だが08年秋から不況の影響で、09年1月に8人、3月には16人が新規に登録。その後も40人増え、昨年12月末現在で113人に上る。ブラジル人の登録も目立つ。

 人材を求める農家の登録数は、09年度当初の40人から変わらず。市は実際に雇用された件数を把握していないが、昨年行った農家へのアンケートでは7、8人しか回答が戻ってきておらず、市は同バンクを通じ、採用につながったケースは少ないとみている。

 バンクに登録する果樹園経営の男性は「実際に雇用したことはあるが、期待した仕事ができず、今は活用していない。能力ごとに選別してもらわないと使いにくい」と打ち明ける。

 市農政課の担当者は「即戦力を求める農家と、知識はないが、仕事がほしいという市民の間にギャップがある。両者を橋渡しするような事業を検討したい」と話している。 

 (安田功)

市民の登録者数が急増しているとよはし農業サポーター人材バンクの台帳=豊橋市役所で
市民の登録者数が急増しているとよはし農業サポーター人材バンクの台帳=豊橋市役所で