蒲郡市の三河織物工業協同組合などは、地域ブランド「三河木綿」の新商品として、無農薬有機栽培の地元産綿を100%使った寝具類や赤ちゃん用品の開発に乗り出す。「ミカワ・コットン・プロジェクト」と銘打ち、遊休農地の活用と、自立を目指す若者に就労体験の場も提供する一石三鳥≠フ取り組み。16日は同市清田町で種まき作業があった。 (坂口千夏)
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蒲郡市は江戸時代から綿織物が盛んで、昭和30年代には三河木綿の一大産地として全国に名をはせ、織物会社は1000社を数えた。「現在は60社程度。衰退した産業復活のため原点に戻って見つめ直した結果、無農薬有機栽培の商品開発に行き着いた」と同組合の中瀬司理事長は話す。
ミカワ・コットン・プロジェクトでは、市内の遊休地を借り、弾力性がありふとん綿などに適した「三河地綿」と、織物に向く米国産アップランド綿など3種類を栽培する。地元の青少年自立援助センター「北斗寮」の寮生らが綿花畑の除草や害虫駆除などに当たる。
栽培は昨年から始めており、50アールの畑で150キロの綿を収穫した。今年は栽培面積を増やし、市内5カ所に計1ヘクタールの畑を確保した。
種まきには北斗寮生ら20人が参加。雑草を防ぐマルチシートがかけられた部分に穴を開け、1つの穴に3粒ずつ種を植えつけていった。
今後は昨年収穫した綿の製糸作業に入り、早ければ夏にも多重織りのガーゼケットや赤ちゃん用のパジャマ、よだれかけなどの新商品を開発する予定だ。
中瀬理事長は「ストーリー性とデザイン性の両方を備えた商品にしたい」と言い、3年間で栽培から販売までのモデル事業を確立する方針。