就職・転職ニュース
【社会】大増員 バッジだけでは食えぬ 弁護士 海外に活路

2012/04/02
進出企業や日系人支援「得意分野つくらねば」
10年でほぼ倍増

 司法制度改革の一環で、弁護士の人数は10年前の倍近くに急増した。弁護士不在の地域が解消されていく一方で、若手弁護士の就職難が叫ばれている。弁護士バッジだけでは食えない時代。成長著しい新興国などに活路を見いだす若手弁護士が出てきた。

 名古屋市守山区の大嶽達哉さん(43)=愛知県弁護士会=は2日、ブラジルに旅立つ。2年間の期限付きで現地の財団法人に勤め、日本などに出稼ぎに出る日系人らの支援や相談に応じる。

 ボサノバやコーヒーなどブラジル文化好き。弁護士としても、外国人犯罪を積極的に引き受けてきた。

 ただ、大学時代の恩師から声を掛けられ、飛び付いたのは「好きだから」だけではない。弁護士になり5年。大増員時代をいかに乗り切るか、常に頭をよぎる。不況で中小企業は減り、大企業は合併などで本社が東京へ移ったり、経費削減で顧問弁護士を減らす傾向にある。

 「得意分野をつくらないと、生き残っていけない」。答えがブラジルだった。この2年を活用して、語学や文化、慣習を学ぶだけでなく、ブラジルの法制度や人の輪を広げたいと考えている。ブラジル企業の日本進出は今後も進むとみる。

 名古屋市中区の事務所で働く野田雄二朗さん(30)=愛知県弁護士会=の得意分野は中国だ。三国志好きが高じて2009年から名古屋大大学院で中国法を学ぶ。上海の法律事務所で研修経験もあり、中国語の日常会話や読み書きは問題ない。

 現地に進出した日系企業の労務や経営相談、契約書の点検などを引き受ける。口コミで仕事が増え、今は全体の1割弱を中国関連の相談が占める。

 脳裏にあるのは、やはり大増員時代への危機感。「中国の案件をもっと増やしたい。需要はまだまだ伸びる」。将来は現地進出も考えている。

【弁護士数】 弁護士白書によると、司法制度改革が始まった1999年の1万6000人から、2011年には3万人超に。司法試験に合格した修習生が事務所に入れないなど就職難や、質の低下を危ぶむ声もある。若手弁護士は多くが「ボス弁護士」に雇われ、独立を目指す「イソ(居候)弁」。しかし最近は、給料をもらわず事務所の軒先(机と電話)だけ借りる「ノキ(軒)弁」、いきなり自宅などで独立する「ソク(即)弁」「タク(宅)弁」も。


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