ニートやフリーターの若者らの就職を支援するNPO法人「青少年就労支援ネットワーク静岡」の合宿が12日、浜松市北区三ケ日町の県立三ケ日青年の家で始まった。長年の活動で、合宿を運営する学生スタッフの質も向上している。
目を見ず外を見て話を聴く、話を遮る−。
「聴く」をテーマに参加者、学生、社会人サポーターらがペアになり、話し手には秘密でこんな設定で会話を進める。話し手は「しゃべりづらい」「興味ないんじゃないかと思った」と話し、全員で「相手の話を尊重すれば自分の話も聴いてくれる」「聴くことはその人を大切にすること」と意見を出し合った。
同ネットワークは、毎年学生と社会人サポーターが協力して、県中部と西部でそれぞれおよそ半年間の支援を続けている。静岡大、県立大、静岡文化芸術大などの学生が合宿を運営し、その後社会人が企業とのパイプ役になり、若者らの就労体験などを支える。
今回は参加者約20人を含め、計約60人が参加。2日間の日程で、ワークショップを通じて前向きな気持ちを引き出す。
学生スタッフとして活動して6年目の山崎智浩さん(26)=浜松市東区=は「以前、参加した人が『初日は空が真っ暗と思ってたけど、帰るときはこんなに晴れてるんだと思った』と言っていた」と合宿の効果を説明。そして「参加者が前向きに進む上でどれだけいいものを準備できるかが重要。これまでの積み重ねもあり、準備段階から学生の質も意欲も上がっている。西部の学生スタッフの数が少ないのでもっと参加してほしい」と話す。
3年間引きこもっている男性(30)=同市中区=は大学院生時代、指導教授との関係がうまくいかず、ストレスが募って中退。男性は「引きこもりを打破するきっかけにしたい」と積極的に話しかけていた。 (並木智子)